|
|
第二二回
「市場の暴力の裏側
――「経済学批判」の実践にむけて」 荒谷 大輔
|
「ヘーゲルは逆立ちをしている」。『ドイツ・イデオロギー』
の序論にみられる、マルクスのこのあまりにも有名な定式は、
しかし、これまでどれだけ真摯に向き合われてきただろうか。
観念論から脱却し、現実的な実践から出発しなければならない。
こうした呼びかけに応えるために、マルクス主義者たちは、現
実の経済現象を分析し、そこを貫く歴史的な法則を見出そうと
してきた。だが、そうした試みは、おそらくは、過剰なまでに
「イデオロギー」を排そうとする態度において、「歴史」に働
く現実的な「思想」の力を過小評価し、「科学」に仮託した言
葉によって、マルクス自身の定式を裏切ってきたように思える。
今日、マルクスの経済分析に立脚して展開される経済学におい
て、現実に足をつけずに逆立ちしているのは、まさにマルクス
の方になっているのである。
本発表において目指されるのは、現代において一層猛威を振
るっているグローバルな経済状況において、経済現象の背後に、
現実に機能している歴史的かつ思想的な構造を批判的に検討す
ることである。それはおそらく、高踏的な概念の操作によって
ロックやカントの認識論を「思想的」に止揚しただけで、現実
の社会における市場経済の侵入を看過していた当時のドイツ観
念論に対して、マルクスが突き付けた批判につながるものであ
るはずである。人間の「自然状態」を設定し、自由な個人の私
的所有を基礎として語り出される経済学は、よく知られてい
るように、経験論的な世界観を根底に据えるものである。自由
な個人の私的所有による経済活動という前提は、しかし、本発
表において、アダム・スミスによる最初の経済学の体系化にお
いてすでに、ある二重性を含み持つものであったことが明らか
になるであろう。グローバルな経済を支える「信用」のシステ
ム(ヒルファーディング・金融論)と市場原理の内部において
必然的に立ち現れる市場の外部性(コース・企業論)を考察す
ることによって、市場原理の「裏側」にある構造を、明らかに
していきたい。
【参考文献】
|
|
【お問い合わせ】 pe-seminar@mail.goo.ne.jp
|
|
[第二三回]
[過去の例会1]
[過去の例会2]
[index]
|
|
|
|